ムネモシュネ

記憶とはこんなにも不死

2019-02-04から1日間の記事一覧

『熊と踊れ』

北国の荒涼とした雪景色そのままを写し取って成長したような三兄弟の心。それがまざまざと見える文体に好感を持った。何かの台本のように一文は短く説明的ですらある。いかにも寒々しく、それがいいのである。三兄弟は、特に長兄のレオは、幼い頃からおのれ…

『ムーン・パレス』ポール・オースター

オースターの評判を聞いて気になっていたので図書館で借りて読んだ。訳は柴田元幸。軽やかな文体。水が流れるような酩酊。酒に飲まれているのに酒臭さがない。この野原の風景を壁に描いた無菌室のような文体はどこから生まれるのだろう。オースターの(ある…